M・A・R・Sのルーツと米山庸二の世界観
ラグジュアリーなジュエリーを展開し国内外問わずファンをもつM・A・R・Sは1990年にスタートした老舗ブランドです。
デザイナーの米山庸二さんにM・A・R・Sを始めたルーツや、ファッションを含めたアクセサリーの魅力まで聞きました。
古くから親交のあるLounge Lizardとのコラボについてもお話も奥が深い…!Lounge Lizard北原との会話形式でインタビューをお届けします。
M・A・R・Sのルーツ
Lounge Lizard新潟店 北原 (以下、北原)「シルバーウィーク期間にマーズとピースオブコードのアクセサリーポップアップショップを開催し、なんとマーズデザイナー米山さんにお越しいただきました。せっかくなんで色々お話聞こうかな、なんていうところから来店の2日前ほどにお話を投げたのにも関わらず快諾していただきありがとうございます。結構無茶ぶりなんですけどよろしくお願い致します」
M・A・R・Sデザイナー米山(以下、米山)「よろしくお願いします」
北原「マーズというブランドが今年で26年目になったんですか?」
米山「そうですね26年目です」
北原「そうですよね。今回撮影してくれている丸山がそれこそ25歳なので」
米山「じゃあ90年生まれ?」
丸山「91年ですね。ほぼマーズとともに歩んできて」
米山「大きくなったねぇ」
一同 (笑)
北原「ということなので早速ですがマーズを知っている方もいればマーズってなんだって方もいらっしゃると思うのでブランドを始めたきっかけというか、米山さんがアクセサリーを始めたきっかけをお聞きしたいです」
米山「ちょうど1990年なんだけど、その頃っていうのがインディペンデント(独立)でメーカーを始める人たちが出始めた頃なんですね。で、ちょうどやり始めた人が何人かいてそのうちの仲良かった友達がきっかけというか」
北原「それはアクセサリーブランドをやろうと思ったきっかけなんですか?それとももうモノづくりとか、もうちょっと広いくくりだったんですか?」
米山「その人たちは洋服屋さんだったんだけど、たまたま誘ってくれた友達が彫金をやったことがなくて、その彫金道具をちょっといじらせてもらって、初めてモノを作ったのがきっかけ。その時初めて物を作る、生み出すっていうか自分で動かして作って、それを人に評価されるっていう。そういうのがすごく楽しくて面白くて。それで、もともとアクセサリーは好きだったから作るものにハマっちゃったんだと思う」
北原「最初はどういうところからインスピレーションとかデザインソースがあったんですか?服屋さんだとミュージシャンが好きで、とか、音楽が好きでとかそのスタイルから入る人もいらっしゃったり。アタッチメントとかは素材から入ったりして、そんなデザイナーさんがいる中、米山さんはきっかけとか」
米山「特に何かそれがあるわけじゃないんだけど結果的に自然界が大きいんだと思う。それが動物だったり、昆虫だったり、そういうシルエットのもの」
北原「キーホルダーとか本当にすごいですよね」
米山「なんか…ね」
一同 (笑)
北原「僕はマーズの展示会に行ったときにすぐ欲しいと思ったのがウォレットチェーンだったんですけど、それよりもすごいと思ったのがキーホルダーの『トンボ』だったんですよ。で、トンボ見た時の次に蜂見て。シルバーで作ると硬さが出るのが他のブランドさんにある中、すごく丸さとか、柔らかいのを感じて、動物らしさとか生き物らしさが出てて感動しました。それって本当作るの難しいんですよね」
米山「やっぱりそのなんだろう、自分が思うシルエットやアングルとか、好きなツボが自分の中であるんだと思う。あとは実用品なのでちゃんと使えなければ嫌で。そういうところもこだわっています」
M・A・R・Sの世界観とLounge Lizardとの接点
北原「自然界ということでコンポジットシリーズ※の編み込みのモチーフって竹細工ですよね。もともとお好きだったんですか?
※コンポジット…複数のものを合成あるいは組み合わせるをテーマとしたシリーズ。シルバーが丁寧に編みこまれている。言葉通り、購入後のカスタマイズが可能。星型やアルファベットのチャームなどをブレスに埋め込みオンリーワンのアクセサリーを作ることができる
米山「うん、好きだったね」
北原「それは日本の伝統工芸品として好きだったんですか?」
米山「モノとしてずっと片隅にあって、自分の作りたいものを常に考えてはいるんだけど、それをどんどん突き詰めていったら『あぁ、やっぱアレ好きだな』って思って、そういうものから派生させて竹細工が持つ世界観を自分の中で作りたいなって思いました」
北原「なるほど。オウプナーズさんでも特集組まれていて、そこでコンポジットの話があったんですけど企業秘密感が出てて(笑)やっぱり作るのに苦労したんですか?」
米山「うーん……」
北原「(笑) そういった意味ではコンポジットって特に思い入れの強いアイテムなんですか?」
米山「そうだね。僕が大事に思うオリジナルの部分なのでそこにはやっぱり力を入れたいかな」
北原「なるほど。こういう人に着けてほしいとか。そういう人物像ってあったりするんですか?例えばラウンジリザードで言ったら細身の人をかっこよく見せる洋服だったりとか」
米山「人の性格とかこういう形の人っていうのはないけどファッションでいうと大人のミニマルでシックなモード系っていうのかな。遊んではいるけどシンプルでいるようなディティールの人に着けてほしいかな」
北原「今日一緒に接客して感じたのは米山さんはファッションを含めたスタイルの話をされるなと思って。お客さんに対してこういう服にこういうのを合わせるといいよねって話されていたので。ファッションを好きだからこそのモノづくりなんですね」
米山「その通りですね。アクセサリーはその人の印象づけるものであったりキャラ設定まで持っていけると思うんだけど、ただ、それをどういうキャラにしたいかにもよるじゃない。ゴリっとしたキャラとかスマートにしたいとか。そのジャンルの中の一つだと思うんだけど、物を付けた時にこう見てる時だけじゃなくて引いて鏡で見るとこういうバランスですよっていうのも大事。好きか、嫌いか、それが気に入ってもらえれば長く着けてもらえるし遊んでもらえるっていう一つになると思う」
北原「今までラウンジリザードと共作していると思うんですけどアレ好きだったなっていうのあります?」
米山「ラウンジリザードとコラボレーションしたのって最初はもう十何年前かな、最初の接点は「細い」。それこそナローのウォレットチェーン。時代がゴリっとしている時にうちは細いモノを出してて、その中でもラウンジリザードはブレてなくて今のスタイルのまま。当時から僕らもそのスタイルがカッコイイと思っているし、そこに対してお互いの想いがあって。あのウォレットチェーンは一番性に合うのかな」
米山さんがずっと身に着けているウォレットチェーン
北原「うちがマーズの取り扱いを始めてラウンジリザードとのコラボがでた時に吉村が全部買い占める事件が。ねぇ、吉くん」
吉村「そうっすね、ハタチくらいの時に。一点だけ入荷して俺が買うっていう(笑)」
北原「ネックレスとウォレットチェーン買ってね。今着けているのがそうですよ。Lounge Lizardとのコラボ」
米山「おぉ」
Lounge Lizard吉村が購入したウォレットチェーン。当時は私欲でまみれていた(吉村談)
おすすめアイテムと意外な手入れ方法
北原「ウォレットチェーンなどのシルバーアイテムだと結構値が張るものが多いと思うんですけど入門編としてオススメのアイテムはありますか?」
米山「バングルかな、細めのバングルはオススメです」
北原「細いのに主張がありますよね」
米山「そこらへんを大事にしていて、あとは指通しが良いだったり着け心地が良いだったりが、僕らの考える品質の一つだと思っています」
北原「店頭で接客していたりウェブサイトで買われるお客様ともに質問されるのがお手入れの方法。一般的にシルバー磨きで磨いてくれとか書いてありますけど……何かありますか?意外と手入れしない方も多かったりするのも多いかなって」
米山「オススメって言ったら変だけどそういうのにプラスすると台所用洗剤あるでしょ、家庭用洗剤とかの」
北原「はいはい、ありますよね」
米山「あれを軽く手に取って泡立てるといわゆる手の油分とか皮脂だったりが取れるのでまずそれをして、その後乾いたタオルで拭くだけでも充分お手入れにはなる。もし黒ずんじゃったりするってなると専用クロスとか研磨剤が入ったもので磨いてあげると落ちるけど。そうじゃないときは一緒に洗ってあげるといい感じを持続することができますよ。たまにでも良いし」
北原「シルバーは専用のものでやんなきゃ!って思う人も多いですよね。それが故にハードルが上がっているのかなって。もっと気軽に使えるよっていうのが今のでより分かったのかなって思いました。いいすね、家庭用のだったらたいていありますもんね」
ESSENCEとMARS
北原「今日一日接客してくださったのでなんとなくお客さんとかお店の雰囲気が分かったと思うんですけど、エッセンスのお客さんにマーズをプッシュする一言とかありますか?」
米山「皆さんお洒落でスタッフさんと仲が良くて、良い意味ですごく信頼をお互いがされていると思うのでお店のスタッフさんが『これいいよ』って勧めれば……ね」
北原「まずは我々がしっかりと、ということですね」
一同 (笑)
米山「ラウンジリザードもアタッチメントもカッコいい洋服なのでそこにもう一つスパイスとして違った遊びを入れるのであればマーズのアイテムは良いバランスで合わせられると思います」
北原「ありがとうございます。今回は貴重なお話をありがとうございました。最後にワンショット撮っていいすか」
米山「はい」
米山さんが最近気に入って使っているグラスホルダー。見た目だけでなく意味のあるアクセサリーを着けたいという想いがある。
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