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旅をし続けることで見えてくるもの

 

中目黒にあるマーカウェア / マーカ / ユーティリティガーメンツのフラッグショップPARKING。前回、中目黒駅からこのPARKINGへの道のりを特集しましたが、今回はその本編となるPARKINGの取材です。2017SS展示会直前のこの時期、デザイナーもメーカーも大変お忙しい中、ES-WEBの取材にご協力いただきました。
雑誌への露出も少ないデザイナーの生の言葉が聞ける貴重な特集です。2017SSのヒントになる言葉もチラホラ。モノ作りへの飽くなき追求をしていくこのメーカーだからこそのこだわりが詰まったインタビューです。
最終回となる第四弾はデザイナーの考え方やひいては2017SSのコレクションに精通する旅のお話。石川さんのiPhoneを見せていただきながらのお話を伺いました。

 
 
 

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趣味から探るインスピレーション

 

ーー「最後二つなんですけど、最近面白かったことを教えてくださいということで。僕が色んなものを見ている中で、ローワーケース※の梶原さんとノーマ※に」

 

※LOWERCASE(ローワーケース)…梶原由景氏が主催するクリエイティブコンサルティング。『異業種コラボ』の先駆けとも言われている。ポーター、セイコー、ルイヴィトンなどクライアントも様々。

※noma(ノーマ)…オーナーのクラウス・マイヤー氏(現在は退任)と、料理界の革命児と言われるシェフ、レネ・レゼピ氏率いるデンマークのレストラン。『アリを使ったエビ』で覚えている人も多い。

 

石川「はいはい、北欧に行ってきた話」

 

ーー「いってらっしゃったとのことで、映画※を観たかったんですけど、あのレストランに興味があって。実際に行かれたということだったので聞きたいなと」

 

※映画…邦題『ノーマ、世界を変える料理』。ノーマの料理人、レネ・レゼピ氏に密着したドキュメンタリー映画。

 

石川「了解です了解です」

 

ーー「もちろん他のことも含めてお伺いできればと思います」

 

石川「いくつかあって…展示会前なので面白いことは全部ストップしているんですけど。一つは少し前にキャンピングカーを買って。フォルクスワーゲンのヴァナゴン※を買って、凄く楽しいのでヴァナゴンのインテリアどうするか考えたり泊まりに行ったり、料理したりが凄く楽しい。あれだとキャンプ場じゃなくてもどこでも停めて寝られるんで、幅が広がって楽しいですね。あとはアウトドアとか焚き火はますます楽しい」

 

※ヴァナゴン…フォルクスワーゲンの『タイプ2』という車種の俗称。『VAN WAGONU(ヴァン ワゴン)』が訛ってヴァナゴンに。

 

ーー「いくつか写真を見せてもらうことはできますか?」

 

石川「いいですよいいですよ。ちょっと待ってくださいね……ちなみに今乗っている車はこれですね」

 
 
 

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ーー「…すごいっすね」

 

石川「うん。キャンピングカーで。こういう感じで後ろにキッチンとかベッドとかあったりするんですけど」

 
 
 

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ーー「これは何年製の」

 

石川「89年製ですね」

 

ーー「キャンプやアウトドアにはどんどんハマっていってる感じですか」

 

石川「もう大好きですね。群馬の家行っている時はずっと焚き火して」

 

ーー「ウオモでも奥様と(笑)」

 

石川「そうですね(笑)」

 

ーー「普段ああいう感じで生活されて」

 

石川「そうですね、犬連れて、焚き火して、料理しながら」

 

ーー「特に目的をもつと言うよりは生活するということですか」

 

石川「そうですね、それが楽しいですね。楽しかった『こと』で行くと北欧へ行ってきたんですけど、梶原さんとはちょこちょこ旅行はしていて。北欧行く何ヶ月か前に『近々アメリカ行きますか』って話になったんで『ちょっと今回は北欧へ行きたいんですけど』って梶原さんに話したら、梶原さんも『長い間行っていないから面白いかもしれないですね』っていうので、二人で行ってきたんですね。デンマークのコペンハーゲンに入ってストックホルムへ行って、最後フィンランドのヘルシンキ行って。一番楽しかったのはコペンハーゲン。コペンハーゲンって結構注目を浴びている街で、どんなところなのか見たかったのと、ちょっと前にキンフォーク※がコペンハーゲンに引っ越して新しいことを始めるというので、事務所に行ってきました」

 

※KINFOLK(キンフォーク)…アメリカのポートランド発のライフスタイル誌。食や生活を丁寧に切り取り、美しいレイアウトと写真で構成する。

 

ーー「いいですね」

 

石川「面白いことが三つあって、一つはノーマが予約とれたので行ってきたのと、もう一つはデザインミュージアムに行った時に『ラーニングフロムジャパン』という特別展やっていてそれが凄い楽しかった。あとはクリスチャニア※というヒッピーのコミューンが町中にあってそこもすっげえ楽しかった。ノーマとノーマ出身の人たちが始めているレストランがあって、そこも行ってきたんですけどね。やっぱノーマは凄い良かったですね」

 

※クリスチャニア…デンマークのコペンハーゲンにある自称、自治区。軍施設の役目を終えた後、ほぼ放置状態だったこの地にホームレスが進入するようになり、他の敷地では子供の遊び場として開放する動きがとられた。その後、ヒッピーなどの集まる場として急速に発展していった。現在は観光地としても立ち寄れる場となっており、この中では車は禁止されている。治安は良い。

 
 
 

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出典 : http://designmuseum.dk
写真 : Pernille Klemp
デザイン : Designbolaget

 

ラーニングフロムジャパンのポスターと展示品。一部公式サイトで画像のダウンロードができる。

 

ーー「良かったですか」

 

石川「何が良かったかって、もちろん美味い。面白い。サービスもフランクで良いし。入った瞬間シェフも含めて全員で招き入れてくれて、日本人のコたちもいるから日本語で説明してくれるし。凄い良かったんですけど、面白い思ったのが、『世界一』を4回とったようなレストランで、値段は高級レストランなんだけど、やっていることはメチャメチャカウンターカルチャーなんですよ」

 

※カウンターカルチャー…対抗文化とも。1960年代、若者を中心とした反社会的とも言える運動。主にベトナム戦争への反発から起こった。既存の文化にとらわれない自由な精神、価値観をもつ。必然的にヒッピーと思想が重なる。

 

ーー「へえぇー」

 

石川「流れとしてはヒッピーだなと。場所がクリスチャニアって言って、軍隊の施設だったところをヒッピーが勝手に入り込んで自治区を作ったんですけど、そこの近くなんですよ。年内いっぱいで本店を閉めてクリスチャニアにもっと近いところに引っ越すんです。なぜかというと引っ越す先は都市農園なんですよ。自分たちで肉とか野菜とか作れる場所だからそこに引っ越すと」

 

ーー「へえぇー」

 

石川「結局自分たちでなんでも作っちゃう。発酵食品まで作っちゃう。マクロビまでいかないですけど、体に良いものを使って自分たちで作ったものを自分たちに供給すると。ヒッピーカルチャーと結びついたところの一番高級版みたいなことを彼らはやっていると。裏側にあるのは完全にカウンターカルチャーだなと思って。世界中からインターンを集めて、ノーマの料理人みたいな連中がバッと集まっていて。一番最初にその流れを作ったのはスペインだと思うんですけど、北欧でも新しい食文化を作っていっていて、本人(レネ)も別にこざっぱりしたキレイな帽子を被った料理人じゃないですし、髪の毛ボサボサでヒゲ生やして。タトゥーバンバン入ってるような連中が集まってる。新しいカルチャーを作り上げていってるっていうのは凄い面白いなと思うんですね。スティーブ・ジョブズがアップルコンピュータで世界一の企業を作り上げたのと同じように、レストランで北欧から発信していってる」

 
 
 

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ーー「旅行の目的としてはノーマに行くことだったんですか?」

 

石川「ノーマに行くことと、ブルックリンとかポートランドとか、アメリカの中で起こっている新しいカルチャーみたいなものはちゃんと見ておかないといけないと思って今まで見てきたし、自分のライフスタイルに取り入れるのに一番面白いと思って見に行っていたんですが、それがヨーロッパで表現されているのを見ようと思った時にコペンハーゲンが一番良いかなと思ったんですね。それに一番近いものがコペンハーゲンにあるのだろうと思って。昔はヒッピーになるといわゆる『世捨て人』みたいなイメージがあると思うんですよ。でも今のそういう人たちは根はヒッピーなんだけど、社会とどう結びついて企業としてやっていくか考えられる人がいっぱいいて、そういう人たちが新しい世界を作っていってる。そんな中でレストランの新しい形としてノーマが面白いなと思ったんですね。『北欧料理』という新しいジャンルを作っていますし、面白いなあと。そういうことが洋服でできたらなと思いますし」

 

ーー「直接的に洋服に落としこむというのはできないでしょうけど、間接的に洋服に反映されていくものですか?」

 

石川「絶対に影響はあると思っていますし、次の春夏のシーズンに出ると思うんですけど(笑)」

 

ーー(笑)

 

石川「あれだけ衝撃を受けると、絶対にありますね」

 

ーー「それは…じゃあ…次の展示会(既に終了)で」

 

石川「見てもらえるといいですかね」

 
 
 

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石川「ここからずっと向こうの写真なんですけど、最初ヘルシンキ入って」

 

ーー「うわー凄い。これはカメラは」

 

石川「これライカかな…あ違う。ソニーですね。RX-1です」

 

ーー「よく使ってらっしゃるやつですね。やっぱり写真上手ですね」

 

石川「いえいえ全然」

 

ーー「コレクションに対するインスピレーションは海外から得るものが多いですか?」

 

石川「そうですね。それに何か得ないとと思って行ってるんで(笑)無駄に観光で行ってもしようがないから。何か仕事に活かせるものを得ないとっていう意識ですね」

 

ーー「梶原さんもそういう思いで行ってらしゃるんですか」

 

石川「そうですね、何かヒントを探してという感じで」

 
 
 
 
 

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ーー「では最後に。最近気になるモノとかあります?買ったものとか」

 

石川「一番大きいのはキャンピングカーですけど、他には…インテリアがちょこちょこ。ソファとか」

 

ーー「自身のブランドをよく着ていらっしゃると思うんですけど、他のブランドで。去年はアンデルセンアンデルセン※だというお話でしたが」

 

※アンデルセンアンデルセン…2009年にデンマークでスタートしたニットブランド。昔ながらの生産方法を絶やしたくない思いから作られた。最高品質のウールをふんだんに使った重厚なニットは防寒性に加え防風性もあり、着込んでいくと柔らかく体に馴染んでいく。

 

石川「ああそうですね。今年…あ!これ。こればっかり履いてます」

 

ーー「これ…コルクですか?」

 

石川「コルクです。内藤っていう祇園の履物屋のものなんですけど」

 

ーー「(PARKINGに)来た時から気になっていました。下駄みたいな雪駄みたいなの履いてるなと」

 
 
 

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石川「そうなんですよ。本当に日本の履物屋さんが作ってるんですけど、すっげえモダンだし、足元の印象がガラッと変わるし。好きです。JOJO※って言って」

 

※JOJO…祇園ない藤 mana PROJECTが手がけるサンダルブランド。ビーチサンダルと雪駄の中間的なデザインと、医療に使われるゴムや天然素材のコルクインソールなど、モダンな素材使いが特徴。

 

ーー「へえぇ」

 

石川「すっげえ気に入ってて。こればっかり履いてるよね」

 

庄司「そうですね、最近はもう」

 

石川「靴履いてないもんね」

 

ーー「でも似合ってます」

 

石川(笑)

 

ーー「和服っぽい感じに」

 

庄司「そうですね」

 

石川「ほぼコレ履いていますね。キャンピングカーとソファがでかすぎてあとは節約生活ですかね…」

 

一同(笑)

 
 
 
 
 

おわり

 

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