2020年も厚底スニーカーの波は続くか? 〜ヴェイパーウェイヴとファッションの関係〜

2020年も厚底スニーカーの波は続くか? 〜ヴェイパーウェイヴとファッションの関係〜

こんにちは。Nです。
本日は商品紹介というよりは2020年のトレンドについてお話していきます。しかも答えの出ないお話。
興味のない人にはとことん刺さらない内容となりますので、興味のある方はご一読ください。

 

スニーカーブームが来て久しいですが、2019年、とりわけ厚底スニーカーは非常に人気が高かったですよね。
ナイキで言えばエアマックス720が絶好調でしたし、エアフォースワンもソールを厚くしたタイプが女性にも人気でした。アディダスやリーボックやプーマらもボリューミーなモデルが復権していました。
バレンシアガやヴァレンティノみたいにハイブランドもこぞってリリースして、そこら中で着用している姿を見かけることができましたので、ちょっとした社会現象になったと言っても良いかもしれません。

 
 
 


先日発売された新型ヴェイパーマックスは2006年モデルを2020年にアップデート。

 

今考えると2010年代前半頃から厚底の下地はできていた

思えば2010年代中頃だったかに復刻したノースウェーブの「エスプレッソ」というモデル。アレが今のトレンドの先駆けだったかもしれません。
90年代といえばスケシューやスノボーを意識したスニーカーが人気でしたし、「厚底ブーツ」なるものも女性の間で流行しました。エアマックス人気の火付け役となった95もちょうどこの頃。ビジブルエア(エアパックが見えているタイプ)って意外と厚底ですから、同じ潮流の中での人気だったとも言えますね。
最新モデルで言うならばヴェイパーマックスは結構な厚底です。アッパーはちょっと懐かしさのある新作(詳細は上の画像リンクから)。

 
 
 

ヴェイパーウェイヴの例。適当なコラージュやサイバーなカラー、謎の日本語などが特徴のビジュアル。

 

80〜90年代が流行った理由はVAPORWAVEにあった?

それこそ2010年代前半(と言われている)からインターネット上で自然発生したかのように登場した「VAPORWAVE(ヴェイパーウェイヴ)」という音楽のジャンルがあります。めちゃくちゃにアングラなこのジャンルは海外で誕生したものですが、日本と大きく関係しています。
ビジュアルとも関連性が高く、ざっくり言うと80〜90年代の日本のCMやアートワークをアレンジしたサイケデリックかつノスタルジックな映像を敢えて古めかしさを強調して使いながら、日本のディスコやファンクなどの曲をPCで大幅にアレンジし、チルウェイヴ的、ドリームポップ的サウンドに変化させアップしているものです(派生したジャンルに「FUTURE FUNK(フューチャーファンク)」というものがあります)。
何言ってるか全然分からないかもしれませんが、定義の難しいジャンルですので一度「ヴェイパーウェイヴ」で画像検索やYouTube検索していただく方が早いと思います。だいたい「ああこんな感じね」と感じ取れると思います。
竹内まりやの「Plastic Love」が海外で爆発的人気を得たのもジャパニーズ・シティ・ポップが評価されるきっかけになりましたが、そのきっかけにはヴェイパーウェイヴの人気があったんです。

 
 
 

ナイトテンポは韓国のDJ。日本の80sをフューチャーファンクの視点でリミックスするのが得意。

 

日本からじゃなく海外から発生したというのがポイントで、ある意味間違った解釈の日本である一方、日本人より日本のノスタルジーを評価したとも考えられます。一部の感度の高いミュージシャンやデザイナーたちはその頃既に目をつけていたに違い有りません。ヴェイパーウェイヴと彼らの影響は徐々に大きくなり、現在は日本の音楽シーンにおいてもシティ・ポップの隆盛が目立っていますね。
例えば、韓国人のNight Tempoはその辺の影響を自らのアイデンティティとしていますし、日本ではハードオフ文化とネット配信で人気になったTofubeatsがいますね。

 
 
 

イエローファングはバンコクのガールズバンド。雰囲気が良い。

 

カナダ出身のマック・デマルコ。フジロックフェスティバルにも参加している。

 

シティ・ポップと評されるのは他にもサチモス、ウォンク、ヨギーニューウェーブス、オーサムシティクラブなどたくさんいます。
海外勢ですとフェイザーデイズ、イエローファング、ボーイパブロ、ルナバケーション、ハイム、メン・アイ・トラスト、マック・デマルコ、プム・ヴィプリットなんかは80〜90年代のサウンドに傾倒。アジアのアーティストも増えています。PVも衣装も古めかしさが目立ち、画角が16:9じゃなく4:3が多いのも特徴です。
アメリカでは遂にCDの売上をレコードが超えてしまいました。中目黒にはカセットテープの専門店「Waltz」ができましたね。先日オープンした渋谷パルコには名店と言われたレコードショップの「WAVE」が復活するなど、80〜90年代人気を決定づける出来事は枚挙に暇がありません。

 
 
 

ナイキの公式ビジュアル。Tシャツのグラフィックも含めてなんだか懐かしい雰囲気。

 

今のファッションとヴェイパーウェイヴは切り離せない

これは史実をもとに個人的見解にて流行した理由を述べていますので正しい文脈かは分かりませんが、少なくない影響はあったと思います。
今回お話している「厚底スニーカー」もその文脈の中の一つです。80〜90年代のテイストを取り入れたウェアや着こなしもヴェイパーウェイヴが人気となり、消化され、実はファッション業界の水面下で大きな力を得たから、と言えるのではないでしょうか。

 

それまでのリバイバルブームと違うのは、発端が若い人たちによるカウンターカルチャーだったことでしょうか。
従来のリバイバルは、業界で力をつけてきた世代が自分の若い頃のモノやコトをフックアップするのがセオリーだったわけです。ところが、ヴェイパーウェイヴの場合は、80〜90年代のモノやコトをフレッシュに捉え、音楽的評価をしたところが新しかった。今思えばこの頃の日本の音楽の質は異常なまでに高かったのです。
舶来物の音楽にダイレクトな影響を受け憧れが強かったと同時にオリジナリティもあった。実際、海外の方が日本の80sを評価している実態があります。日本の10代や20代も過去の自分たちの国の音楽の良さに気づく人がもっと増えると、ファッションにも更に深みが出てくるのかなと思います。

 
 
 

2020年のスニーカー事情

話を戻しましょう。厚底の話でした。
これも個人的見解ですが厚底スニーカーはまだまだ一過性のものにならず2020年も継続して人気があると思います。メーカー自体もそこには着目していますし、昔と違ってただポッテリしているだけじゃなくスッキリと見せる着こなしも成熟してきています。ある種スニーカーを見る時の選択肢になるのではないかなと思います。
それから、ハイテク系がやたらもてはやされていたこの1〜2年でしたが、2020年はローテクにもまた人気が出そうです。ナイキで言えばエアフォースワンじゃなくブレーザー、コルテッツ、テイルウインド。アディダスで言えばスタンスミスじゃなくスーパースター、キャンパス、ガッツレーのような。リリースがあるかは別として、こういったレトロなランニング系やコート系も注目されるかもしれません。最先端なモデルも人気が継続する一方で、おじさんでも履き馴染みの良いモデルが人気になるのは、トレンド性もありつつ取り入れやすくて良いですよね。

 

「音楽とファッションのリンクは死んだ」と言われることもありますが、意外と繋がりが残っているんじゃないかなという夢のある話。
サチモス聴いてそうな格好とか、あいみょん聴いてそうな格好とか無意識にあると思うんですよね。80年代っぽいスタイルをみんな無意識に取り入れながら、音楽も同じ時代性のあるバンドを聴いていたりしていませんか?
「ヒップホップ聴いてたらカンゴールのハットを被る」とか「グランジ聴いてたらボロボロのジーンズを穿く」とかそういうのは死んだと思いますけどね。

 

全然接客にならないブログでしたね。