LENO(リノ)が作る本気の、そして今の時代にちょうどいいGジャンとジーンズ

LENO(リノ)が作る本気の、そして今の時代にちょうどいいGジャンとジーンズ

こんにちは。Nです。
2022SSよりESSENCE(古町本店)にて取り扱いがスタートしたLENO(リノ)というブランドについてご紹介します。
バイヤーからこのブランドの紹介を受けてESSENCEに良さそうだなと感じていたのですが、実は私個人としてもかねてよりリノのダンガリーシャツを気にしていて、アルチザン的な側面と今の時代感をピタッと捉えたニュアンスの両方がある珍しいブランドだという印象をもっていました。

 

そして、取り扱いを開始するにあたり、最初に投入されたのが今回ご紹介するトラッカージャケットテーパードジーンズです。リノはシーズンコレクションとは別に「定番」と位置づけるアイテムが複数あり、トラッカージャケットとテーパードジーンズはその定番のアイテムです。

 
 
 

LENO / リノ
H2201-JJ003
BRENDA BIG TRUCKER JACKET
¥36,300

かつてリーバイスが発表したファーストモデルのGジャンを踏襲したオーソドックスなデザインのトラッカージャケットです。Gジャンと言うと今では古着も浸透していて、胸ポケから下にV字の切り替えが入る3rdタイプをよく目にするかと思うのですが、個人的には1stが一番好きなデザイン。フロントボタン脇にプリーツが入り、ボックスステッチで留めたアイコニックなデザインや左胸にあしらった大きなポケットが特徴で、身幅は大きく、丈が短いボックスシルエット。

 
 
 

リノが再現したのは、ビッグサイズにしか存在が確認できない背中中心の縫製
リーバイスが1stのGジャンを作っていた当時、46インチ以上のサイズを作ろうとすると生地幅が足りなかったそうです。そこで2枚の生地を使って幅を確保したという経緯があり、背中に縫製が入ることとなりました。これを通称「Tバック」と呼んでいます。ヨークの切り替えはもともとあったので、その横のステッチと合わせて「T」と読むようになったのですが、これに価値を見出し世に広めた人物はベルベルジンの藤原裕さんと言っても過言ではないでしょう。「Tバック」という呼称は受けたインタビューメディアによって広まったそうで本人によるものではありません。藤原さんも昔お客様から「探している」と言われ初めてその存在を知ったとか。

 
 
 

トップス:LENO BRENDA BIG TRUCKER JACKET(サイズ2)
ボトムス:LENO LOOSE TAPERED JEANS(30インチ)
モデル:身長177cm、体重55kg

今でこそこの仕様を模したGジャンは割と見かけるようになりましたがつい数年前までは全く無かったと思います。私もその仕様のものを探していたので(さすがにオリジナルは買えないほどのプレミア価格に…)よく覚えています。
ただ、リノの作ったトラッカージャケットを見てみると本当によく出来てるんですよね。ただ再現するだけだと「レプリカ」になるんですけど、今着ても着やすいようにシルエットを巧みに調整しています。
男性でも女性でも抵抗なく着ていただけるのではないでしょうか。

 

このトラッカージャケットの真骨頂って言っていいと思うんですがやっぱりバックスタイルが見応えあります。本物のヴィンテージですとこの濃紺ではまず残っていないので逆にフレッシュですね。1年も着たら結構いい感じに変わるかなと思います(仕事着として着られる方はぜひ日々着てほしい)。

 
 
 

シンチバックには針状のバックルを採用しています。これもオリジナルに倣った仕様です。普通に着用していたらまず危険なことはないと思いますが、針は針なのでメーカー的にも「座った時とか気をつけてね」ってことは下げ札に書いています。
また「本当に細かくこだわるなあ」と感心したのがバックルが〈SOLIDE〉製だったこと。装飾の少ないシンプルなバックルを使っていますが、リーバイスの大戦モデルに一時期使われていたこともある由緒あるバックルです。ただ大戦モデルは資源不足のためフロントポケットのフラップを省略したりフロントボタンが5つから4つに変更されるので大戦モデルをベースにしているわけではありません。2本針のバックルということで戦前モデルがベースと思われます。

 
 
 

使っているのは13.5オンスとやや厚めの生地で、当然のことながらセルヴィッジデニムです。トラッカージャケットの場合、赤耳はボタン裏の見返しに使われています。着ていたらほとんど見えませんが、やっぱりテンション上がりますよね。セルヴィッジデニムを織るのは力織機(りきしょっき)と言って昔から使われる機械。織るスピードが遅いが故に現代では効率の面で大量生産品ではまず使われません。ゆっくりと織り上げる分空気が含まれやすくなり膨らみと表情がしっかり出るのが特徴です。

 
 
 

また、このセルヴィッジデニムにはほとんど加工を入れていません。ウォッシュのみ施し、一度縮みきった状態で製品化してあります。ノンウォッシュデニムのパリッとした糊の感じも捨てがたいですが、縮まないことや色落ちがある程度したものだと選びやすくなりますよね。

 
 
 

ウォッシュ加工されているとは言ってもさすがに未使用の13.5オンスはゴワッとした乾いた硬さがあります。これが使い込むことでどんなふうに変化していくのだろうという期待値も高いです。撮影にあたり触ってみましたけど、案外手にインディゴが残ることはありませんでした。ただやっぱり使い始めは色移りにご注意いただいた方がよろしいかと思います。

 
 
 

LENO / リノ
H2201-J004
LOOSE TAPERED JEANS
¥24,200

そしてこちらがルーズテーパードシルエットのデニムパンツ。色合いや質感がトラッカージャケットと見た目はほぼ一緒に見えますが、12オンスの少し軽いセルヴィッジデニムを使い、心地良さを追求しています。私の知見はそんなに広くないんですが、このジーンズのシルエットはほぼリノのオリジナルなんじゃないかなと思います。
このルーズテーパードジーンズはボタンフライなんですが、リーバイスのボタンフライは501以外にはほとんど無く、その僅かなその他モデルに関してもこのシルエットではありません。501もストレートのためシルエットの元ネタとしては除外されます。おそらく501をベースにしながら今の時代に合わせやすいよう太めのテーパードにアレンジしているのではないかと思います。

 
 
 

バギーっぽさもありながら、ほんのり先細りさせた合わせやすいシルエットとなっており、コットン100%ながらストレスなく快適なゆとりがあります。それでいてメリハリが効いていて余分なたるみは出にくくなっています。仕様自体は501なんだろうと思います。腰帯となるマーベルトを見ると上だけシングルステッチになっていたり、ウエストボタン位置にあるV字のステッチを採用していることなどから、大戦後の501XXがベースになっているものと推測できます。
ディレクターの主濱さんはブランドを構築するにあたり自身が所有する1947年製の501を大切にしているということですので、もしかしたら47年製501なのかもしれませんね。

 
 
 

ボタンフライは裏側から見るとこんな具合で打ってありました。フラットなものばかり見てきたので、こういう厚みのあるタイプはちゃんと見たのは初めてです。ちなみにボタンはもちろんリノのオリジナル刻印モデルです。

 
 
 

パッチは羊革を採用しています。既に洗ってあるためシワと縮みが確認できます。これも変化が楽しみなディテールの一つ。トラッカージャケットも同様です。

 
 
 

バックポケットは隠しリベット。こちらは裏面がフラットなタイプです。リノのリベットやボタンは鉄製だそうなのですが一部銅メッキを施しているとアナウンスされています。

 
 
 

セルヴィッジデニムの証である赤耳を使った裾はねじれも含めて表現となっています。洗ったことで生地が縮んで裾先に「パッカリング」という細かい引き攣れが確認できますね。これは生地が縮んだこととチェーンステッチで始末したことによる結果です。この凸の部分が色落ちしていき、エイジングの魅力を生み出します。

 
 
 

ウォッチポケットに縁にもしっかり赤耳を確認。ちゃんと確認しないと分からないところにも抜かりがありません。

 
 
 

どちらも新品なため硬いシワ感が写真から伝わると思います。1週間くらい毎日着たら結構柔らかくなりそうです。着丈が短めでウエストマークがやや高い位置に見えるため、全体的にはゆったりしていますがクリーンな雰囲気が出ます。

 
 
 

で私なら最初は別々で楽しみたいなと思いました。例えば今のトレンドの潮流的には上下ともにルーズなスタイルが主流ですが、スリムなものを使ってフォルムのメリハリを楽しむってのがおすすめ。
ルーズテーパードジーンズをスリムなニットに合わせてみたらどこか大人な雰囲気になりました。ちょっと知的な印象にもなります。

 
 
 

こういう綺麗なシルエットの太いデニムってなかなか見つけるのも大変ですよね。しかもクオリティまで欲するとなると選択肢が非常に少ない。リノはこういった要求を満たしてくれます。

 

余談ですがこういったパンツはウエスト中心を持ち上げるとシルエットが綺麗に写ります。特に赤耳を使うデニムは基本的にボトムは外に広がるようにパターンメイキングされるため、ウエストのラインの真ん中が下がり気味になりがち。中心(ちょうどボタン位置)を持ち上げることでボトムがスッと立ち上がってシルエットが良くなりますので参考にしてみてください。

 
 
 

逆にトラッカージャケットの場合は相反するウエアのナイロンパンツと合わせました。トップスは幅があって肩が落ちるくらい大きいのに対し、パンツはスリム。ナイロン素材を組み合わせに使うと更に今っぽさが増します。

 

本記事と関係ないですが、ウエアのパンツはローンチ早々に完売してしまっていて予想以上に人気が出てしまって品切れ状態が今も続いています。2022年の春前には再入荷が予定されていますので、気になる方、前回買えなかった方はもう少々お待ちください(悪天候が続く新潟のような地域だと本当に助かるパンツです…)。

 
 
 

単独使いですといかにも「アメカジ」な雰囲気を払拭できますしアウターの一つとしてすごく重宝しそう。Gジャンって気軽に羽織れて好きなんですよね。汚れたり擦れたりも気になりませんし、Tシャツ、シャツ、ニット、パーカと男性のトップスなら比較的なんでも合います。

 
 
 

初めてリノの洋服を触ってみて、他の洋服も見てみたいなと素直に感じました。今後の入荷も非常に楽しみです。ESSENCEではクオリティの高いブランドを取り揃えていますが、それに負けないくらい洋服作りのマニア度が高いです。
デザイナーの安藤さんやディレクターの主濱さんのお話も少ししか情報が出ていないのですが、きっとすごく研究されているのだろうなというのは洋服を見たらよく分かります。
このデニムでその一端に触れてみてはいかがでしょうか。

 
 
 

 
 
 

WRITER N

ディレクター
よく着るブランド:MARKAWARE・nonnative・NIKE
好きな音楽のジャンル:シティポップ・ダンス/エレクトロニック
好きなアニメ:エヴァ
特性:静かに面白い事を言って爆笑を取る