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NIKE OFFLINE 2.0

「オフライン」という考え方をもつ方法。

SNSのことを気にしてスニーカー選びをするのも定着して久しい。いかに目立つか、いかに羨望の声を聞くか、どれだけグッドボタンを押してもらうかに全力を注いでそこに自分の居場所を見つけた人も多いかもしれません。こと、スニーカーとなるとそれが顕著な気がしています。

NIKE OFFLINE 2.0 ナイキ オフライン 2.0
ITEM CODE:CZ0332-001
¥15,400(税込)

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デジタルデトックスは足元から


〈ナイキ オフライン〉は全く新しいアプローチ。スニーカーといえばどこに出かけるにしても必要なものだったわけで、前述の通り人によっては「人に見せるためのオンラインツール」だったと考えることもできるでしょう。ところが、この〈ナイキ オフライン 2.0〉は名前を聞けば分かるように、繋がりを必要としていません。外出をオンとするならば、こちらはオフ。足と心を開放させるために考えられたシューズ、というのがコンセプトになって開発されています。いわば俗世から離れてもらうことを意図したものだったんです。
     
ファーストモデルからデザインを一新したバージョン2.0では、スニーカーとサンダルの中間的デザインのファーストモデルから、完全にサンダルに移行しています。ただし、レースアップシステムを保ったサンダルです。
カンブリア紀の原始的な生物のような有機的な曲線を描いたアッパーはメッシュを切り替え、シューレースをもった独特のレイヤー。リラックスしたアッパーをシューレースでグッと締めてフィット感を上げることができます。ヒールにはコルクを使う(側面を囲んでいて、フットベットにはなっていない)とともに、大人っぽさも増したルックスへステップアップさせています。
控えめなシャークソールもあって、アウトドアラインである〈ACG〉のフレーバーを感じつつ、男性的とも女性的ともとれないニュートラルなデザインにはジェンダーレスな空気感も漂っています。
     
驚くべきはインソールの扱い方。届いたシューボックスの大きさにも驚きました。通常のオレンジのボックスではなく〈N.354〉※名義として、ダンボールボックスに黒プリント一色で作られ、開けるとお重のように部屋が仕切られていました。そして上に見えたのがインソール(このパッケージは実質の「1.0」となった前作も同様の仕様)。極厚のスポンジソールにまず驚きます。インソールは敢えてユーザーに敷いてもらう仕組みです。
足を通して更にびっくりするのが履き心地です。「オフライン」という言葉にピッタリな、力が抜けていくほど気持ちが良いクッショニングが味わえます
普通にインソールも一緒になったサンダルならここまで体験として新鮮味を感じることは無かったと思います。「分ける」というアイデアによって今までにない体験を得ることができたのです。ナイキのアイデアはいつもフレッシュですね。
※〈N.354〉…〈THE10TH〉、〈D/MS/X〉とともに立ち上げた〈NIKE〉のコレクション。2019年よりスタート。ナイキの膨大なアーカイブをもう一度見直し、〈N.354〉としてプロダクト化している。従来のモデルと比べるとプロトタイプらしい未完成品のような仕上がりが特徴。創業時にナイキが契約したランナー、スティーブ・プリフォンテーンが1マイル3分54秒を記録したことが由来。
     
展開はブラックと淡めのミントグリーンの2色。ブラックはスタイルを全く邪魔しないシックなカラーリング。部分的、しかもごく僅かなホワイトがデザインを程良く引き締め、ヒールのコルクがスニーカーとは違った上品さをプラスしてくれます。
淡いミントグリーンの方は、グレーやブラウンといった素朴な色合いとの対比がジェラートのように美しいカラーです。
プロダクトとしての佇まいが良いので、「オフライン」と言ったってどこまでだって履きたくなる衝動に駆られるでしょう。事実そうなるに違いありません。きっと写真だって撮りたくなるし、見せたくなるプロダクトです。
ナイキが考えるコンセプトと裏腹に、結局はそうなっていくのだろうというのも皮肉が効いています。
     
ナイキのサンダルカテゴリーと言ったら、たぶん、一番売れたのは〈NIKE BENASSI〉だと思います。今は〈NIKE VICTORY ONE〉という名前でリローンチされています。3,000円くらいで買える、ナイキの中でももっともリーズナブルなフットウェアの一つですが(筆者もオフィスで愛用中)、これはベナッシでは味わえないリッチさや、もうちょっと着用距離が出るデザインがポイントです。
私はオフィスの中やベランダではベナッシを使いますが、コンビニには行きません。ベナッシは逆に言えばそれくらいの感じが使いやすいんです。でも〈ナイキ オフライン 2.0〉はその境界線が曖昧になるサンダル。オフ特化型デザインでありながら、オンに対応してしまいます。
     
私が考える〈ナイキ オフライン 2.0〉は、誰かに見せるためのオンラインツールとしてではなく、今書いたように、誰かとどこかへ行きたくなる気持ちを高めるためのオフラインツール、つまり自分のためのシューズであるということです。
もし〈ナイキ オフライン 2.0〉を手にしたらコンビニは愚か、イオンやスタバにだって行きたくなります。映画館ではストレス無く観られそうですし、真夜中のツタヤにも便利。もちろん、マスクとTカードを忘れずに。
   
発行日: 2021/05/13 〈 文=STAFF N 〉
 
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