【比較解説】冬の傑作ブーツ ダナーライトとダナーフィールドの違いは?
足元の冬支度はもうお済ですか?〈ESSENCE〉でも〈DANNER〉の取り扱いが始まりました。今回お話するのはお客様から聞かれることも多いダナーライトとダナーフィールドの違いについて。見た目が似ている二つの機能の違いを紐解いていきます。
解説の前にそもそもダナーをご存じない方もいるかと思うのでまずはご紹介を。
1932年チペワフォールズでチャールズダナーが安い仕事用ブーツを5人の労働者と一緒に作り始め、一足4ドルで売ることから始まる。チャールズダナーがオレゴン州ポートランドでビジネスを展開。当時、質の高いチョークロガーを作り始めて一足20ドルで売り始める。1959年、アメリカで初めてビブラムソールを用いたシューズを開発し、ダナーのマウンテントレールが一番登りやすいブーツとバックパッカー雑誌に取り上げられ、ダナーは ハイキング業界でプレミアなブランドとなりました。1979年には、靴企業では初めて”ゴアテックス”を使用したシューズを展開し、「ダナー」ブランドは確固たる地位に。「軽量」で「快適」、1足、1足を厳選された素材で、時間をかけて丹念に手作業でシューズを作り上げる、というスタンスは今でも変わらない。
(DANNER公式HPより引用)
使う人のシーンを考えたモノ作りを創業から続け、その職人の高い技術力から「最も理想的なブーツ」という地位を確立。ワーク・アウトドアからの支持はもちろんの事、ファッションの観点からも高い評価を受けています。大手セレクトショップでも別注などが盛んに行われている事がその裏付けの一つです。モノ作りの考え、生産背景が本物でありながら、ファッションの分野でも高く評価される非常に優秀なブランドとして覚えておいてください。では本題と参りましょう。
DANNER LIGHT ダナーライトとは?
【特徴】
MADE IN USA
完全防水による全天候対応
高い透湿性による常にドライな環境
高い耐久性による傷/劣化防止
高い縫製技術による快適な履き心地
高いグリップ性による歩行時の安全性
ダナーライトはGORE社との共同開発によって世界で初めて〈GORE-TEX®〉を搭載したブーツとして1979年に誕生しています。〈GORE-TEX®〉は今や防水シューズによく使われている素材ですよね。この〈GORE-TEX®〉ブーティで足全体を包み込んだ上に、アッパーにはフルグレイン防水オイルドレザーを採用している事で完全防水を実現しています。このフルグレインレザーは天然の革の表情をそのままで非常に高品質です。〈GORE-TEX®〉は透湿性も兼ね備えているので、ブーツ特有の蒸れを限りなく最小限に抑えてくれます。
デュブレには〈GORE-TEX®〉が刻まれています。
また、コーデュラナイロンを負荷が掛かる箇所中心に採用している事で耐久性が飛躍的に向上しています。1000デニールのコーデュラナイロンなので非常に強度が高いです。数値が多いほど糸が厚くて重くなるのですが、純粋に数値が高ければ高いほど強度が上がると思ってください。ちなみに、コーデュラナイロンの裏側には「PU(ポリウレタン)加工」が施されている為、防水・撥水性能も高い素材です。見た目はマットな感じで、触ると少しザラっとした感じです。
現在に至るまでMADE IN USAにこだわり、ポートランド工場の職人さんが一足一足手仕事で仕上げてくれています。アッパーには「MADE IN USA」のピスネームがしっかりと縫われています。
「袋縫い」を採用している事で、足を包みこむような柔らかい履き心地を実現。高い技術力と時間が必要とし、生産数に限界があるためモデルも限定されてきます。インソールは入っていませんが、十分なクッション性を感じる事が出来ます。
ダナー式ステッチダウン製法を採用している事で、雨が入りにくく、しなやかさと耐久性が向上しています。
アウトソールには〈Vibram〉社の〈KLETTER LIFT〉を採用。伝統的な〈Vibram〉のパターンコンビネーションにより非常に高いグリップ性を実現。
土踏まずの内側と外側にラグが施されており、特に下りの時に滑りにくく、 しっかりとしたトラクションを確保する事で、安全な歩行を可能に。また、耐摩耗性にも優れているためソール交換が最小限に抑えられています。
上記の特徴から過酷な環境下においても安心安全に履ける靴とご理解頂けたのではないでしょうか?
DANNER FIELD ダナーフィールドとは?
【特徴】
MADE IN VIETNAM
高い透湿性による常にドライな環境
高い耐久性による傷/劣化防止
高い防臭性と通気性のインソール採用によるコンフォータブル仕様
高いグリップ性による歩行時の安全性
2モデルを比較すると基本スペックに差はほとんどありません。生産国はベトナム。実は多くのシューズ工場がベトナムにあり、大手シューズブランドの生産拠点になっています。その為、クオリティが悪いわけではなくむしろ高い技術を持った工場が多いので「ベトナムだから悪い」という風には捉えないでくださいね。
革はダナーライトとほぼ同スペックなものを使っていますが、 同じではありません。ベトナム付近で調達された革をベトナムの工場で加工しているのでダナーライトと比較すると艶感と質感に差がでます。工場内で行われるなめし※作業などに差があるためだと思います。並べると差がはっきりと分かります。
※なめし…動物の「皮」から「革」をつくる加工。腐敗の原因となるたんぱく質や脂肪を取り除き柔軟性・耐久性をもたせる
ライナーに関しては〈GORE-TEX®〉ブーティではなく、筒型の〈GORE-TEX®〉を縫い付けています。ただし、これで防水性が落ちないように防水材が使用され、アッパーとミッドソールもしっかりと縫われているので、防水性は高いレベルで維持されています。
ダナーライトにはインソールが付属していませんが、こちらのダナーフィールドにはカップインソールが付属。
Ortholite CUPINSPLEなので、クッション性・通気性・防臭性に優れています。歩いてみると程よい柔らかさを感じられ、革靴・ブーツ特有の硬さは感じません。
トップの部分はフックからホールに変わっている為、脱ぎ履きはしやすくなっています。デイリーユースではこういったさりげない仕様変更がありがたいですね。ダナーライトに付属していた〈GORE-TEX®〉のデュブレはありません。また「MADE IN USA」のピスは無くなり、代わりに〈GORE-TEX®〉のピスネームが縫い付けられています。
コーデュラナイロンに関しては1000デニールのものを使用していません。1000デニールのコーデュラナイロンに近いスペックを持ち合わせたコーデュラナイロン」というところまでしか確認が取れず。実際比べてみると、ダナーフィールドの方が若干撚糸が太く見えます。また、見た目も少し光沢感が出て、手触りも滑らかな印象です。
ダナーライトとダナーフィールドの違いは?
似たような顔で店頭に並べていると「これ何が違うんですか?」とよく聞かれます。それはそうですよね。本当にそっくりですから。ダナーライトのDNAをしっかりと受け継いだエントリーモデルがダナーフィールドとまずは覚えてください。
【2モデルを比ベての違い】
生産国
袋縫いかどうか
ピスネーム
フックかホールか
1000デニールのコーデュラナイロンかどうか
革の表情
デュブレのありなし
エンボスロゴの位置
上記の通り、2モデルでは大きくスペックの差はなく、細かいディテールの差のみです。
こだわりが強く人とは違うものを選びたい方はダナーライト。どうせ買うらなら良いものを買いたい、人とは違うものを手にしたいという思いは服好きならあるのではないでしょうか。「20年は使用出来るブーツ」として認知されている靴でもあるので、初期投資として考えれば納得出来る金額かと思います。記憶では過去4万円くらいで買えたと思うのですが今や7万…。円安、インフレが加速すると考えると今現在余裕があればいって欲しいですね。
革靴を履き慣れていない人、ラフに使いたい方にはダナーフィールド。革靴やブーツなどに慣れがない方はまずはダナーフィールドから入り、気に入ったらダナーライトにステップアップがオススメです。お値段以上に満足度が高いクオリティを保証します。どちらもガシガシ使って、ケアをしつつエイジングを楽しんでもらえたたと思います。使い込んで自分だけの一足になった時には、何とも言えない満足感と高揚感があります。
サイズはどう選べば良いの?
サイズ選びはスニーカーで選ぶサイズよりも0.5〜1cm落として履いてもらうのがオススメです。〈DANNER〉は履いているうちにかなり馴染みが出ます。普段通りに選ぶと後々ブカブカになる事が予想されますので、ここは気をつけてください。靴と足の間にゆとりがありすぎると、靴の中で足が前後に遊び(動き)ます。その遊びを止める様に、膝と腰が自動的にストップをかけ続ける為、膝と腰に負担がかかり疲労や痛みに繋がります。適正なサイズを選ぶことは身体にとって、とても大切なことです。基本的には通販よりも実店舗で試着してスタッフにアドバイスをもらいながら選んでいただく事をオススメします。〈ESSENCE〉は新潟万代ビルボードプレイス、茨木水戸イオンモール、秋田オーパにお店がありますのでお近くにお住まいの方はぜひお立ち寄りください。
スタッフの試着レビュー
甲の高さ:やや高い、足の幅:標準
▼普段のスニーカーサイズNIKE:28.0cm
converse:29.0cm
Adidas:28.0cm
Reebok:28.0cm
Salomon:28.5cm
HOKA ONEONE:28.0cm
asics:28.0cm
中肉のパイルソックスを着用して履いています。
ダナーライト
27.0:甲が途中で突っかかり、入りませんでした。
27.5cm:足入れ時に甲が若干当たりスムーズに足入れはできませんでした。つま先に0.5〜1cmはゆとりがある状態。インソール入れても問題無いと思っています。
ダナーフィールド
27.0: 全体的に足にフィットした状態。革靴を履き慣れていない方だと、窮屈に感じると思います。つま先に0.5〜1cmはゆとりがある状態。
27.5cm: 足を包み込むようなフィット感。中にはゆとりがあるので、シューレースを縛ってもキツさは感じません。つま先に1㎝はゆとりがある状態。
試着感想
履き比べて見ての感想としてダナーライトの方が少しキツく感じたのと、タンの開きが弱く足入れがしにくく感じました。反面ダナーフィールドは足入れもスムーズで、表記よりも少し大きめに感じました。
馴染みを考慮してダナーライトは27.5cm、ダナーフィールドは27.0cmを選びます。普段のスニーカーサイズに対して0.5〜1cmダウンですね。スニーカーに履き慣れている方は0.5cmくらいサイズを落とすと違和感なく履いてもらえると思います。
どうやってお手入れしたら良いの?
①靴紐を外す
②アッパー全体をブラッシング
③クリーナーで革の部分を優しく拭き取り汚れを落とす
④革の部分にオイルを塗布 ※この時にナイロンにオイルがかからない様に注意!
⑤約24時間陰干し
⑤革の部分のオイルをウエスで拭き取る
⑥防水スプレーを全体にかける ※可能なら24時間おいてから再度防水スプレーをかけ、また24時間おく
⑦靴紐を通す
アッパーのナイロン部分は砂埃が溜まりやすいので、しっかりブラッシングしてください。落としにくい頑固な汚れは中性洗剤を使用し、汚れを落としてくださいね。頻度としてはシーズンに1回はやってほしいですね。もし、自分でやるのは面倒だなぁという方は靴屋さんへ出してメンテナンスしてもらってください。大体1,000円前後でクリーニングとケアはしてくれます。
ちなみにダナーライト、ダナーフィールドともにミッドソールとアウトソールは接着剤でくっついていますので、剥離や摩耗が見られたらリペア可能です。ダナーのオフィシャルリペアサービスでも受け付けていますし、ケア同様街の靴屋さんでも可能です。
■おまけ■より快適に履いてもらう為に
ダナーフィールドには前述した様に、〈Ortholite Cupinsole〉が採用されている為、快適な履き心地を最初から感じられます。
反面、インソールも使用年数に応じて当然劣化してしまうので定期的な入れ替えが必要です。この点カップインソールは差し替えが出来て優秀ですよね。
ダナーライトはインソールが付属していない為、インソールを入れて履くことをオススメします。そのまま履いて頂いても問題はありませんが、立ったり歩いたりする時間が長い方はインソールを絶対に入れてください。疲れが溜まりにくくなりますので。
そこでお勧めしたいのが、〈DANNER〉が提供している「FATIGUE FIGHTER」。
アーチサポートが足を健康的(正常)な形にしてくる為、歩行の安定性が出る事や、衝撃吸収による負担軽減、怪我予防などに繋がります。日本人の半数以上が扁平足とのデータがありますので、こういったアーチサポート付きのインソールはもはや必須なのではないでしょうか。実際私は〈new balance〉のスニーカーの大半にアーチサポート付きのインソールを使用しています。立ち仕事をしていても疲れにくく、背筋も伸びます。その他にもフッドベッドに速乾性の高い素材を使用している為、足の群れを最小限に抑えてくれます。
ダナーライトを買うのであれば、騙されたと思ってまずは合わせて購入してもらいたいです。履いたときの感覚は、全然違いますよ。ダナーフィールドの方はインソールがダメになってからの差し替えに!
ついつい熱が入り色々と語ってしまいました。少しでも〈DANNER〉のシューズの知識が深まれば幸いです。