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【Product Focus】ATON / エイトン SUVIN
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薄く軽く美しい、普段着シャツの最高峰

1つの商品をピックアップして深掘りしていく特集〈In-depth〉。第3回は〈ATON〉のローン地シャツ。シンプルな無地のシャツは星の数ほどあれど、未だ〈ATON〉のOVERSIZED SHIRTに似たシルエットのものは見かけたことがありません。加えてブランドオリジナルのアメリカンスーピマコットンのローン生地を使い、美しくも軽やかな味わいをもった唯一無二のシャツです。

ATON

COTTON LAWN OVERSIZED SHIRT

AT-BLAGSM0401

コットン100%

〈ATON〉といえば、どの商品を見ても上品で洗練されていて垢抜けたデザインやドレッシーなスタイルを特徴に持ったコレクションが魅力的ですが、いずれも上品なだけでなく力の抜けたカジュアルさを併せ持っていることも忘れてはいけません。 「カジュアル」という言葉だけでは語弊があるかもしれません。つまりは、どんな時にも馴染む洋服であるということです。

取り上げているCOTTON LAWN OVERSIZED SHIRTは、定番的に展開のあるシャツの一つ。今では「普通」になっているオーバーサイズのシルエットながら独特で、「大きいのにだらしなくない」「着丈は長いのに収まりが良い」「シンプルなのに個性を感じる」といった相反した二面性をもっているデザイン。

洗いざらしのシワや細かい運針の側で波打つパッカリングを見ていると、毎日着るためのシャツだと認識させられます。そんなデイリーシャツをドレスシャツ工場で綺麗に縫うことで、シャツから美しさがにじみ出ています。

春から徐々に強くなっていくの日差しの下で見るコットンローンはこれでもかというくらい優しく、真夏の日中に部屋でそよぐレースカーテンを思わせます。

同時に見た目から涼しげでいかにも上質。デニム、チノ、スラックス、どんなパンツも一枚着るだけで様になるようなシルエット。生地もカタチも着た時のコンビネーションも、あらゆる点においてバランスのとれた一枚です。

一方、この優しいローン生地はそれほどセンシティブな生地というわけでもなく、ハリは控えめながら程よく生地に芯が通っているようなシャキッとしたコシも感じられます。同素材でパンツも作られていますが、パンツの方が生地の消耗が早いと考えると、それなりの耐久性があるという裏付けもあります。

涼しく軽く薄いという特徴は前述の通りですが、私が感じとった魅力はシワの動き方や入り方。クシャッとしても生地が寝ないのは先程お伝えしたシャキッとしたコシがあるからかなと思っています。こうしたバランスも見事。

3つくらい折って袖まくりをすると本当にカタチが良いなと感心します。これは袖まくりをするためのシャツですね。

なんとなしに見れば普通のシャツなんですけど、なんだか普通だとは思えない。ポケットすら無いシャツなのになんでこんなに個性的なんだろう。そうした理由は緻密な設計とディテールの積み重ねで出来上がっているものなのかもしれません。2000円くらい出せばそれなりのシャツが手に入るこの時代に、4万円近いコットンローンのシャツがどうしても欲しくなってしまう理由は、同じように積み重なっていきます。コスパだけでは語れない「体験」に近い感覚を覚えるシャツです。