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【Product Focus】ATON / エイトン SUVIN

ATONエイトンのSUVINスヴィン
ESSENCE ONLINE STOREが自信をもってセレクトしているグッドプロダクトの、細かなディテールや品質の高さにフォーカスしご紹介していく「Product Focus」。今回ご紹介するのはATONの「SUVIN」シリーズです。 ATONでは定番素材がいくつもありますが、中でも通年使われているのスヴィンコットン。2023AWでセレクトしているのはこのスヴィンコットンを使ったロングスリーブTシャツとブロードシャツです。同じスヴィンと言っても、この2つは全く違う織物。
Tシャツは天竺編み。みなさんが想像するTシャツの生地は全て天竺です。他にジャージーと呼んだりもしますが、天竺編みは表裏のある生地です。一般的には伸縮性、吸水性、通気性といった特徴があり、肌に触れても柔らかく着心地が良いのはご承知の通り。ATONのスヴィンTシャツでは60/2(ロクマル双糸)の織物にしてあります。

ロクマル双糸

「2本の糸を撚ったもので60番手で織った」という意味なんですが、単糸に比べて双糸の方が強くなりますし生地の表情が均一になります。また、「00番手」は糸の太さを表します。生地の解像度のようなものと思ってください。低いほど粗いです。これは良い悪いではなく、それぞれに良さがあるとあらかじめお伝えしておきます。60番手以上はいわゆる「細番手」を意味し、スヴィンコットンのような繊維が長い超長綿だからこその滑らかさ、光沢感が味わえます。 例えばTシャツの代表格であるHanesの赤パックTシャツなんかは26/1ですので、ATONのSUVINは単純計算で3倍近くも滑らか、ということになります。更に言えば単糸より双糸の方が目がキレイに出て、強さ、美しさが高まるとされています。

カジュアルウェアなのに端正

ATONの洋服全てに共通することですが、基本的にはカジュアルウェアではあるものの素材の使い方によって非常に端正です。ひとえに「オーバーサイズTシャツ」と言ってもHanesやCAMBERなどのアメリカンブランドのような粗い風合いの良さとはまた違った、Tシャツなのに上品を体現したものづくりです。他のブランドと比べても「オーバーサイズ」の表現が独特で、当然横にも大きいですが比較的縦に大きさを残しているのでボディラインが美しく流れるように形成されます。
その独特なサイズ感が故に、他のブランドと着合わせた際にもATONの上品さに引っ張られますし、丈感の違いによるレイヤードも可能です。シンプルな長袖のTシャツなんですが、ただそれだけにとどまらず、着心地、見た目の良さ、他の洋服との兼ね合いといった点でかなり有効なアイテムです。春なんかは1枚で、秋冬にはインナーでと考えるとものすごい出番の多さです。
スヴィンコットンの天竺というだけで、画像から分かるくらいに光沢感がありますが、超長綿は毛羽立ちにくいので使い込んだ時に光沢を失いにくいという利点もあります。 後述するシャツでも同じなんですが、このスヴィンコットンはインドの綿花で手摘みされていると商品ページにも記載があります。手摘みは想像しやすいと思うのですが機械で刈り取るよりも丁寧に綿花を扱うため非生産的である一方で、繊維を切りづらいですし油分も残りやすいため綿花の特性をほぼ失いません。だからこそ光沢を出すための加工を一切しなくてもこれだけのツヤが出ています。
「デザイン」と聞くとプリントや刺繍、ギミック、パターンなどの影響だけに囚われがちですが、このツヤもまたデザインだと思っています。

シャツの方はブロード。要するにビジネスシャツのそれと同じです。他に「ポプリン」と呼んだりもします。シャツを作る時の最もポピュラーな織物の一つで高密度な平織りの一種です。皆さんも一枚はお持ちだと思いますが、さほど厚みがないのになんだかいつもシャキッとしていてヘタレにくいですよね。あの強さがブロードクロスの魅力です。使用耐久度が非常に高い生地です。

高密度なブロードクロス

ただでさえ高密度なブロードクロスですが、ATONのブロードは使っている工場の限界まで高密度を追い求めた結果、手で触って明らかに違うくらいにパリッとしています。それでいてしなやかに体を包みます。そしてATONの端正な顔立ちを損ねずあくまで美しいのです。白いシャツの場合ですとブロードのためやや透け感がありますが、それくらい薄いのに強さも併せ持っています。

洗いざらしでもいい

通常、ブロードシャツというとシワをアイロンでキレイに伸ばして着るのが当たり前。ただ、ATONはこのシャツについて「洗いざらし」という選択肢を与えてくれています。このシャツはドレスシャツでもなければビジネスシャツでもない、あくまで日常着のシャツですから、日々のメンテナンスを特別気にせずに使いたい心情もあります。そういう意味で洗いざらしでも着られるというのはとても助かりますよね。それもまた機能だと思います。
肩や裾の縫製にパッカリングが出ていますが、これがデイリーウェアである裏付けにもとれます。普通のブロードシャツではパッカリングを出すようなことはあまりしないと思います。このシャツが日々洗って着てを繰り返すようなシャツだからこそ、そうしたニュアンスを大切にしていますし、より気張らずに使える証。着込んでくたびれても愛せるような長い付き合いになるシャツなのではないでしょうか。
ATONの他のシャツと同様に襟は小さめで縫い目の出ない袋縫い、前立てのないフレンチフロント仕様といったサッパリとした出で立ち。カジュアルシャツである一方こうしてディテールを削ぎ落としていくことでどちらにも振ることができます。分かりやすいデザインが少ないほど形や素材が一層引き立てられます。いかにもATONらしいアプローチです。
このシャツが活きるのは当然ATONの緩いトラウザーズだったりジャケットだったりするのですが、デニムパンツやカーゴパンツなどのカジュアルなパンツにも合います。アメカジの代表格であるオックスフォードシャツのストレートなアプローチに比べても品良く使える点で幅広いスタイルに合わせることができます。夏ならショートパンツと合わせるのも良いでしょう。