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UPDATE: 2014年10月24日

【Product Focus 5】 KAZUYUKI KUMAGAI / カズユキクマガイ タイプライターレザータ加工 ダウンベスト

 

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5回目となる「Product Focus」。
ES-WEBが自信をもってセレクトしているグッドプロダクトの、細かなディテールや品質の高さにフォーカスしご紹介していく企画です。
今回ご紹介するのはKAZUYUKI KUMAGAIのタイプライターレザータ加工 ダウンベストです。

 
 

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耳慣れない「レザータ加工」という言葉。ボディに使用しているのは厚手のタイプライター生地で、その表面に特殊なコーティングを施した加工です。
マットで乾燥したガサッとした風合い。KAZUYUKI KUMAGAIとしては新素材です。
かなりハリがあって、ブランドいわく「レザーのような質感」。個人的な感想としては厚手の紙みたいな印象です。ただ決してチープではなく、退廃的な雰囲気作りが得意なKAZUYUKI KUMAGAIらしい質感だと感じます。
フロントのジップは下は左右の真ん中に位置していますが、襟元は向かって左に流れていますね。これは【サイドワインダー】と言って、よくスキーウェアやアウトドアウェアなどで使われる仕様です。ジップが口や顎に当たることがなく、快適な着心地に一役買っているのです。アクティブなシーンではジップ一つも怪我の原因になりかねませんから、それを防ぐために生まれました。日常で使う時も何気に嬉しい配慮ですね。

 
 

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表面はよく見ると当然ですがコットン地であることが分かります。
タイプライターという生地は読んで字の如し、文書印刷の機械タイプライターにインクを供給する帯状の部品であるインクリボンに使われていたことから由来する生地です。
高密度に打ち込まれた組織は、ハリ・コシがしっかりとしていて、現代ではシャツなどにもよく使われていますね。
品が良く、艶やかな生地感がドレスシーンにもピッタリ。その素材を敢えてコーティングし、マットに仕上げているのがこの生地です。

 
 

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裏地にはキュプラを使っています。キュプラは正確には「銅アンモニアレーヨン」といいます。なかなか難しい名前です。ツヤツヤサラサラの生地はジャケットやコートなどの袖通しを良くしてくれるので、一般的に広く普及しています。
それだけじゃありません。実は吸湿性・放湿性にも優れ、耐摩耗性も優れていますので、人間の汗を吸い取り発散する力と、摩擦耐性があるということです。裏地としてかなり優秀な素材なのですよ。

 
 

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襟を広げてみました。当然のことですが、ジップが斜めに配置されているので襟もアシンメトリーな形状。かなり襟高に設定されています。首の位置でV字に生地が落ち込んでいるのが特徴的。
新品を取り出してきて撮影をしていますから、収納していた時のシワも目立っていますね。この辺も「紙」っぽく見えます。

 
 

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首の付け根のブランドタグの位置にはハンガーループを装備。ちょっと嬉しいディテールです。
この洋服自体がそこまで重くありませんから、ちょっと引っ掛けておきたい時にかなり便利です。家に帰った時や、飲み会の席で脱ぎたい時など考えてみるとそんなシーンは結構あるものです。

 
 

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今度は襟を後ろから見てみます。先ほど述べたV字の箇所がそのまま表にも表れています。襟の付け根に相当するのはV字のてっぺん辺りですので、本来はその位置にステッチが入るのが普通です。この襟の場合はもう少し高い位置にステッチが入っているのが分かります。襟が寝てしまわず、しっかりと自立してくれる機能もあります。見た目もシャキッとしてカッコイイですね。
こういう部分を見ると、縫製工場は大変そうだなあなんて感心してしまいます。

 
 

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身頃を横から見ると、表身頃と後身頃の他にサイドにもう一枚ハギを足しているのが分かります。以前の記事でもありましたが、このことにより体に立体的にフィットするため、より美しくラインを作り出すことが可能です。
ミニマルを作る時に心がけているデザイナーの熊谷さんの仰るとおり、実はこのハギの右側にはなんとポケット口があるのです。見た目からはよく分かりませんが、隠しつつ機能させるワザは本当に凄いです。

 
 

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ポケットの端にはなんだか細かく縫い付けがされているようです。これは「閂(カンヌキ)」といって、デニムが好きな方ならご存知のディテール。英語圏では「バータック」と呼ばれています。洋服を作る際の補強の一種です。
言葉自体は、扉にまたがるようにして棒や板状のものを差し込み、開かないようにするための錠のこと。その形状から拝借したカンヌキ。
ルーツとなっているのはやはりジーンズです。昔ジーンズはリベットという金具で生地同士を留めていました。今ももちろん使われているもので、皆さんが持っているデニムにも使われています。ポケットの端などに付いている丸い金具です。
バックポケットの口の角にも使われていたのですが、それが廃止され代わりに登場したのがカンヌキです。金具と同等の強度をもちつつ糸のみで補強できるので、たくさんの洋服に使われています。
このポケットもよく手を入れる部分のため、開き口を強くしてあります。

 
 

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一方こちらは内ポケット。タイプライターとキュプラの縫い合わせに沿った形で隠しファスナーを使い搭載してあります。こちらにも端にカンヌキを使って補強してありますね。
隠しファスナーだと、ベストの中に着た洋服へ務歯(ファスナーの歯の部分)が引っかからず便利。プラー(引き手)も丸みがあってインナーを傷つけにくくしてあります。
ちなみにこの内ポケットは両胸にあります。

 
 

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これは袖の内側部分にフォーカスした写真です。写真の中心にキュプラ生地を少し縫った箇所があるの、分かりますか?
内側にのみダーツを入れて、肩周りのシルエットを美しく見せています。もたつきが出て、生地が余ってしまいがちな肩周りをシュッと引き締めてくれます。もしかしたらダーツがあるとなしでは気づかないレベルの調整かもしれません。この細かさがこのブランドの良いところです。

 
 

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最後に立たせてみました。生地がどれだけハリをもっているかお分かりかと思います。
この写真は特別、中に何かを入れたものではなく、このダウンベストのみで自立しています。かなりしっかりとしたハリがあるのです。まるで人が着ているようなキレイなシルエットですよね。

 
 

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フロントを開けて着ると、襟が少し外に開きつつもスッと立ち上がるシルエットです。ボディも体にフィットするようなタイトな仕上がりで、カットソーやシャツなど薄手のものにもよく合います。
写真のようにテーラードジャケットの上からベストを羽織るのもESらしいスタイリング。キレイ目のブルゾンやジャケットともマッチするデザインで、とにかく便利です。
保温性にも優れていて、ダウンなのにキルティングされていないツルッとしたルックスも魅力。
トップス・ボトムスと同色で合わせ、更にミニマルなスタイリングを作るのもいいですね。基本的にどの色もハズレはありません。

 
 
 
 
 

BRAND: KAZUYUKI KUMAGAI
NO: KD42-050
ITEM: タイプライターレザータ加工 ダウンベスト
PRICE: 50,760 円

 

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KAZUYUKI KUMAGAIでは他にもこんなアウターがあります。

 
 
 

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今回ご紹介したベストの「袖あり」バージョン、ダウンジャケットタイプです。
襟や身頃の作りは全く同じですが、細身の袖がこれまた美しいシルエットです。
袖先にもファスナーを備え、開閉が可能。マチ付きのため、開いたからといって腕が見えるわけではありません。
ちなみにファスナーは当然riri社製のものを採用。
しっかり越冬できるヘビーアウターです。

 

BRAND: KAZUYUKI KUMAGAI
NO: KB42-048
ITEM: タイプライターレザータ加工 スタンドカラーダウン
PRICE: 63,720 円

 

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今期のKAZUYUKI KUMAGAIのラインナップの中でもヘビー級のアウター。
ネックが通常以上に高く、顔の半分を覆い隠すくらい。フードのボリューム感もいい具合で、比翼を開いてもかっこよく着られます。
それでいてボディやアームは細く作られ、そのバランスも見事です。
表地はストレッチが効いていて、裏地が付いているもののある程度動きに対応してくれるのも着心地アップに繋がっています。
こちらのモデルも袖にファスナーを装備。
フロントがボタンとファスナーの両方で開けるので、簡易的に閉めたい時はボタン、しっかり防寒させたい時はファスナーを使うなどの使い分けも可能。

 

BRAND: KAZUYUKI KUMAGAI
NO: KB42-081
ITEM: ナイロンコットンハイパワーストレッチ フーデッドダウン
PRICE: 72,360 円

 

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今季最高値クラスのアウターはもちろんレザーです。
スエードを使ったシングルライダースジャケットなのですが、特筆すべきはスエードを表側のように樹脂加工で覆ったこと。
表側とも異なるざらつきのある質感に生まれ変わり、独特な艶とムラを表現。
タイトシルエットのジャケットであるにもかかわらず、柔らかく、着心地が良いレザーです。
それこそダウンベストを上に着たりしてもアリですね。

 

BRAND: KAZUYUKI KUMAGAI
NO: KB42-012
ITEM: ナッパランアニリンカーフ シングルライダース
PRICE: 151,200 円

 

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さて次回のPF(Product Focus)は、KAZUYUKI KUMAGAIのNyトリコットストレッチツイル ジョッパーズパンツにフォーカスします。
お楽しみに。

 
 
 
 
 

 

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