時計

世界最高峰の日常時計。|Grand Seiko SLGH005 通称”白樺”

2021年に発表されて以来、〈グランドセイコー〉のSLGH005はブランドを象徴する一本となりました。同年のジュネーブ・ウォッチメイキング・グランプリ(GPHG)のメンズウォッチ部門賞を国内ブランドで初受賞し、紛うことなき世界的な一本の評価を受けて、今もなお極めて高い人気を誇る名機です。

 

【無金利可】9Sメカニカル 白樺 SLGH005 【Grand Seiko / グランドセイコー】
新たなデザインシリーズ「シリーズ9」より登場した、美しい白樺の林をイメージしたモデル

 
 
 

Grand Seiko
SLGH005
¥1,155,000

当店でも人気が高い時計の一つではありますが、当然、発表後の数えきれない記事を目の当たりにし、今更書くことなどあるのか?と自問自答を繰り返してきました。しかしながら、お伝えせざるを得ない魅力があるのも事実です。本記事では可能な限り、自分が目にしてきた記事とは異なる視点で書いていくことにしました。何度も目にしてきたこの名品をどうしたら他の視点でお伝えできるか。

 
 
 

そもそも白樺というモデル自体、簡潔に特徴を捉えるなら三針、カレンダー付き、シルバーダイヤル、ブレスレットといったように非常に原始的なルックスの機械式時計です。ムーブメントは白樺から採用が始まった9SA5で、36000振動のハイビート機が入っていて非常に精度が高い80時間の超ロングパワーリザーブということで、丸々3日間放置してもまだ翌日に動いているほどパワフル。

 
 
 

ケースやブレスレットも高品質であることは周知の事実ですが、白樺が誕生する以前から〈グランドセイコー〉の品質は折り紙付きで、白樺は評価のきっかけでしかありません。奇しくも白樺の誕生に合わせて〈グランドセイコー〉のデザイン文法として掲げられた「Evolution 9」に則った設計ではあるものの、世界的評価の点において特別視されたのは果たしてルックスだったのでしょうか?

 
 
 

確かに白樺はルックスがとても素晴らしい時計です。これ以上望むべくもないほど完成度が高く文句の付け所がありません。銀一色の立体造形だけで装着感、視認性、奥行き表現などほぼ全てのディテールを成立させており、唯一色のある青焼きの針が緻密に駆動します。
このミニマルなレイアウトによって圧倒的な存在感となってオーラを放っています。

 
 
 

〈グランドセイコー〉が得意とするダイヤルの立体成形は度々評価されていますが、SLGH005では白樺の樹皮の表情を起用したところも海外で評価される理由の一つとして大きかったように思います。いかにも日本的美意識らしいコンセプトではあるものの、その実、白樺という木は欧米でもポピュラーなモチーフであり、斬新かつ馴染み深い存在だったのではないでしょうか?つまり、どこに行っても共通言語として使えるデザインなのです。

 
 
 

ドレスウォッチとツールウォッチの両面がある白樺は必要以上にエレガンスに振ってもいなく、必要以上に道具然としていません。機能として必要なディテールはしっかり残していますし、反面佇まいには素直な上品さがあります。スポーツウォッチのような力強さをもち、それでいてデザイン的には奥ゆかしさがあり、ギラついた主張はありません。この辺りのバランスがジャパンメイドらしさでもあります。

 
 
 

さらに、画像では伝えられませんがEvolution 9によって新たに「重心」という価値基準が加わり、着けた人間に感動を与える結果となっています。白樺のデザインを担当したウオッチデザイナーの酒井さんがTHREECにいらした際には「良い時計とは?」の質問に「着けた時に、良い時計」という言葉を残しています。やはり腕時計は身につけてこそ。よくフックアップされるダイヤルのルックスやムーブメントの性能は当然評価が高いのですが、作った本人は実物を腕に巻いた時の満足度を追い求めているということでした。

 
 
 

酒井さんは他にも、時計のデザインをする上で最もプライオリティが高いのが「見えること」と仰っていました。その次に「美しさ」であるとも。まさに白樺は時計の本懐である「時刻を見る」という機能を失うことなく美しさを追求するという〈グランドセイコー〉らしいこだわりが目にも楽しい一本です。
そう考えていくと、評価としてよく挙がるルックスという大きな意味では正しいのかもしれません。しかし、感動は手にした時に初めてもたらされており、2つの驚きとして世に受け入れられたのだろうと思います。

 
 
 

銀面の凹凸に対して銀のインデックス・時分針と、一見時刻が読み取りづらいのかと思いきや、実は多面カットされた鏡面インデックスや針は反射物が多く映り込むため、針自体が浮き立ってきます。これによって蓄光がなくても配色を変えなくても日中や日暮れでも見やすいよう配慮されています。商品撮影をするお店の方は体感されていると思うのですが、白樺を撮るとインデックスや針は割りと黒潰れするのです。これが視認性の意味では「狙い」だというふうにも言えます。Evolution 9のデザイン思想にもある「光と陰」と受け取ることができます。

 
 
 

白樺はビジネスツールとして受け取られがちなんですが、スポーツウォッチ的でもありシンプルな外装でもあることからカジュアルな場面で難なく使える日常時計でもあります。既に手にしている方ならお気づきかと思いますが、ことさらにスーツと合わせるルックだけを想像しなくても良いのです。仕事の時以外には着けない、なんて選択肢はありません。チェックシャツだってフーディーだって合わせて良い時計。ただ、手首に白樺があるだけでそのスタイルはグッと格上げされて見えてきます。

 
 
 

これからの〈グランドセイコー〉の最高峰に位置するEvolution 9のファーストモデルという意味でも、ブランドの看板となるモデルにしようという意気込みはあったと思います。今、実際「グランドセイコーと言えば?」と問われれば多くの方が白樺を挙げるでしょう。自他ともに認める、寸分の隙もない極上の一本になったと言えます。

 
 
 

目に見えるもの、見えないものの工夫を含めて実用時計を目指しながら、ダイヤルデザインによって個性を放つ時計はそう多くなく、世界基準でも確固たるポジションをものにした〈グランドセイコー〉。とりわけ海外メーカーでこのプライスゾーンで戦える時計はないかもしれません。こと国内の腕時計で実績・評価も加味して考えても、白樺は最高の日常時計に数えて良いでしょう。

 
 
 


【グランドセイコー】 メーカーインタビュー!2021年3月6日発売 SLGH005 通称”白樺”【THREEC CHANNEL 第54回】

 


【グランドセイコー】 SLGH005 白樺ダイヤルを作ったデザイナーにロングインタビュー【THREEC CHANNEL 第121回】

 


【グランドセイコー】 メーカーインタビュー! SLGA009 通称”白樺” スプリングドライブモデル【THREEC CHANNEL 第112回】

 
 
 

【無金利可】9Sメカニカル 白樺 SLGH005 【Grand Seiko / グランドセイコー】
新たなデザインシリーズ「シリーズ9」より登場した、美しい白樺の林をイメージしたモデル

 

オンラインストアへ

タイトルとURLをコピーしました