NIKEのサステナブルなスニーカーは優れているのか

NIKEのサステナブルなスニーカーは優れているのか

こんにちは。Nです。
本日はナイキから発売されたサステナブルなスニーカー、ナイキ クレーター インパクトのご紹介です。
ただ、その前に少し固いお話をしたいと思います。

近年、とにもかくにも「サステナブル」というキーワードが出てきますね。特にファッション業界は「環境汚染産業」という側面では大きい産業だとかねてより懸念されており、大きな企業はこぞってリサイクル素材を使うことに積極的に取り組んでいます(正しい方法かどうかは別として)。
そんな中、ナイキが取り組んでいるのが〈MOVE TO ZERO〉を始めとした炭素排出量ゼロの取り組みや、廃棄物の再生利用です。
でも、そういったアイテムって本当に欲しいものなのでしょうか?

 
 
 


サステナブルとは何か

カタカナで書くとまだ色々とブレがあってナイキは「サステナブル」と呼んでいますが、他では「サステイナブル」「サスティナブル」と書くものもあります。「サステナビリティ」と呼ぶこともあって、日本語訳は「持続可能性」と言いますが、なんのこっちゃって感じですね。

 

簡単にいうと「地球環境を保つために、製品づくりは環境負荷も人的被害も極力ナシにしましょう」ってことです。このゴールはどの企業も一緒なんですが、プロセスや考え方が一様ではありません。

 

例えば「リサイクル素材を使いました」はそれだけ聞けば聞こえは良いですが、リサイクル素材を製品化するにあたって、どれくらい水を使うのか、海洋汚染があるのか、電気を使うのか、人件費を必要以上に抑えていないかなどの面も考えなければいけません。
また、1,000円のTシャツを3年着るのと、10,000円のTシャツを5年着るのとでは、生産量も使用年数も廃棄量も違いますね。
メーカーが良いコットンをそれなりの価格で買い付けて農家が潤い、次の生産も無理なく行えることも大切ですし、消費者が長く使うことで廃棄物を減らすこともできます。
そういった様々なファクターを好循環にしていく必要があるため、メーカーだけが頑張っても良くなりません。我々消費者もその意識を0から1にするだけでも世界規模で見れば大きな循環ができるというわけです。

 
 
 


リサイクルはお金がかかる

意外と勘違いしがちな部分ですが、リサイクルはお金がかかります。再利用しているからコストが浮くわけではありません。新たな価値創出をしなければいけない使命があるメーカーは莫大な開発費用をかけて、現実に直面する環境被害の問題に取り組まなければなりません。
ですのでリサイクルの開発をある種無理にでも進めていっている部分もあると思います。特に大企業になればなるほどそうだと思います。
しかも消費者にはそれを受け入れてもらわなければなりません。そのため、現時点では製品開発の黎明期とでもいいましょうか、まだまだ発展途上なものも多くあると思います。その中ではナイキのプロダクトはかなりの精度で仕上げてくるので「流石」の一言に尽きます。

 
 

NIKE / ナイキ
NIKE CRATER IMPACT
DB2477-010
¥12,100

ESのコンテンツなんかでも何度かお話してきていますが、「環境に優しいから買おう」とかって発想はもたなくても良いと思います。「良いな」と思ったものがたまたま環境に優しかったくらいで十分です。
このモデル、単純にカワイイですよね。2020年前半で登場した〈ナイキ スペースヒッピー〉シリーズの系譜にあるのが今回ご紹介するナイキ クレーター インパクトです。
ナイキの「サステナブル」なアイテムは割と素材がそのまま見えるように仕上がってくるものも多いです。こちらもそうですね。

 
 
 

特に象徴的なのがソール部分ですね。青白いラバーの部分を「クレーターフォーム」と言い、中に裁断されたラバーを「グラインド」と呼びます。ミッドソール兼アウトソールの役割もあるタイプで、特に摩耗が激しい箇所は黒く硬めのソールを重ねてグラインドを混ぜています。
ちなみにソール構造全体を指す時には「ツーリング」と呼んだりもします。

 
 
 

アッパーは合成繊維をベースに切り替えを少なく、パーツはざっくりと配置しており、生産効率を上げるとともに、廃棄物削減を実現しているとのこと。負荷がかかりやすい箇所と見られる部分には圧着の補強をしてあります。
2016年くらいに存在した〈ナイキ ローシ〉に近いアッパーの形。しかしシューレース周りの上モノが異なるレイヤリングのため、印象が全然違いますね。

 
 
 

ネオンオレンジのテープがぐるっとコの字にシューレース周りを囲んでおり、ステッチやヒールパーツにはネオンイエローを起用。一件派手に見えますが、蛍光色のオレンジやイエローって意外と洋服の邪魔をしません。

 
 
 

今回のスタイリングではイエローのインナーを使っていますが、シューズのカラーとリンクしてくれます。グレーやブラックなどのよく使う色の洋服にはバッチリハマってくれます。

 
 
 

ソールの話に戻りますと、クレーターフォームは見た目のボリューム以上に軽いです。多分同じボリュームで考えるとエアの入ったソールよりも軽いです。

 
 
 

実際履くとマジで軽い。軽い上にクッショニングも軽快です。反発性にも優れたエアと比べるともう少しふわっと沈み込むような感じがしました。
分かったことは、リサイクルうんぬんとか関係なく、ナイキ クレーター インパクトは履き心地がめちゃくちゃ良かったってことです。

 
 
 

アッパーは足型にホールドしてフィッティングが良いです(足に合った、というのもありますが)。メッシュ構造なのも軽い要因になっていると思います。春夏はこればかりってことも考えられます。
今回はスウェットパンツに合わせていますが、マーカウェアエイトンが展開するようなキレイなトラウザータイプにもよく合うでしょうし、セットアップコーデの中に差し込む使い方も非常におすすめです。

 
 
 

インソールもクッション性に一役買っています。ナイキファンにはおなじみの風車は今はリサイクル素材を積極的に使った製品にだけあしらわれています。おそらくですが、〈MOVE TO ZERO〉の製品のシンボルとして機能していくものと思われます。
ナイキ クレーター インパクトも〈MOVE TO ZERO〉の一貫ですので、箱はダンボールタイプ、包装紙はつかず、シューズの中に詰め込む「アンコ」もありません。付くのは箱と紙タグだけのかなり簡素に作りです。

 
 
 

27.5cmのモデルでソールの高さは約4センチほど。結構盛れます。
かかと方面のソールの中央に角があってうっすらラインが入っているのが分かるでしょうか。その高さにインソールがあると思っていただいていいです。

 
 
 

ナイキももちろんのこと、多くのスポーツメーカーは近年の「サステナブル」が目立つようになってきたずっと前からリサイクル素材の活用は積極的に行なってきたと思います。
ですから、技術的な意味ではある程度成熟していると言ってもいいかもしれません。こと、ナイキに関してはそのスキルが非常に高水準です。デザインレベルもめっちゃ高いですしね。

 

ES取り扱いのブランドで言えばマーカウェアが「サステナブル」に特に力を入れているのはご存知のとおりですね。原料を現地の方と直接取り引きしていたり、洗濯回数が減らせるウールを使ったり(ウールそのものが何度も収穫できるサステナブルな原料)、染色する必要のない美しい色のアルパカの毛を使ったり。アルパカは蹄じゃなく肉球のため草原を荒らすこともなく、食べる植物は根っこが残るので草原が再生できるそう。なおかつ、体毛は全身が同品質の収穫が可能というサステナブルの塊なのだそう。
その上で洋服も長きに渡って使ってもらえるように技術力の高い日本の工場を使うのはもちろん、長期使用に耐えうるデザインをするなど、その努力には枚挙に暇がありません。

 

それぞれの企業努力の形は違えど、みんな「良いものを良いプライスで長く使ってもらいたい」って気持ちは変わらないのかなと思います。